非常に多くの化粧品に配合されており、化粧品を作る際に必要不可欠な「界面活性剤」。

ただ種類も数千にのぼり、表示名も複雑でとても覚えられそうにありません…
そこで、この記事では、代表的な界面活性剤を中心に「表記例」と「見分け方」を解説していきます。

1. 界面活性剤のタイプとは?

界面活性剤は大きくわけると4つのタイプがあります。

それぞれの名称と特徴は以下です。

次からは、それぞれのタイプの表示例を説明していきます。

2. 各タイプの表示例

ここでは、4つのタイプそれぞれの表示例や、見分け方のコツなどをご紹介。実際に化粧品を選ぶ際の参考にしてくださいね。

2-1. アニオン界面活性剤の表記例と見分け方

このタイプの界面活性剤は、古くから多くの種類が開発されており、全界面活性剤の約1/3を占めています

◆表記例

石ケン素地・ラウレス硫酸Na、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルメチルタウリンNa、ステアリン酸Kなど

◆見分け方

表示例に以下の文言が含まれているかどうかが見分けるポイントです。

  • 「石ケン」
  • 「〇〇酸Na、〇〇酸K、〇〇酸TEA」
  • 「〇〇グルタミン酸Na、〇〇タウリンK」

…など。

2-2. カチオン界面活性剤の表記例と見分け方

このタイプの界面活性剤は主にヘアケア用品に使われていて、コンディショナーなどに配合すると、髪の毛の静電気を抑える機能を発揮します。

◆表記例

ステアルトリモ二ウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、セトリモ二ウムブロミド、ステアリルトリモ二ウムブロミド、塩化ベンザルコニウムなど

◆見分け方

このタイプの界面活性剤を見分ける際のポイントは以下です。

  • 「〇〇クロリド」「〇〇ブロミド」と表示されることが比較的多い
  • スキンケアではあまり使われない
     

2-3. 両性界面活性剤の表記例と見分け方

この界面活性剤は、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤の両方の性質を持っていることが特徴です。

◆表記例

コカミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸Na、ココアミンオキシド、水添レシチンなど

◆見分け方

表示例に以下の文言が含まれているかどうかが見分けるポイントです。

  • 「〇〇ベタイン」「〇〇オキシド」
  • 「〇〇アンホ」を含む

2-4. ノ二オン界面活性剤の表記例と見分け方

このタイプの界面活性剤は、そのほかの全ての界面活性剤と併用できることが特徴です。近年使用量が大幅に伸びていて、アニオン界面活性剤と並ぶ主力界面活性剤になっています。

◆表記例

オレイン酸ポリグリセリル₋10、ステアリン酸ソルビタン、コカミドDEA、コカミドMEA、イソステアリン酸PEG-20グリセリル、ポリソルベート60、水添ヒマシ油、テトラオレイン酸ソルベス₋30、ラウレス‐4、べへネス₋30など

◆見分け方

このタイプの界面活性剤を見分ける際のポイントは以下です。

  • 「〇〇グリセリル-数字」「〇〇ソルビタン」という文言が含まれている
  • 「〇〇DEA」「〇〇MEA」いう文言が含まれている
  • 「PEG-数字」を含む「〇〇グリセリル」で終わる
  • 「ポリソルベート」が頭につく
  • 「ソルベス」を含む
  • 「ラウレス」「セテス」「オレス」「ステアレス」「べへネス」「トリデセス」「ミレス」「イソステアレス」「コレス」に「-数字」がつく
     

3. まとめ

 界面活性剤は種類が多く性質もそれぞれ違うため、うまく組み合わせることで、さまざまな働き(機能)を生み出し、私たちの生活のあらゆる分野で大活躍しています。

「界面活性剤=身体に悪い」と危険視されがちですが、これなしには化粧品は作れないといってもいいほど、ほとんどの商品に使われています。

一般的に肌に優しいと思われている固形石けんにも界面活性剤は含まれていますし、使用するうえで、

  • 強力な洗浄力を持つ界面活性剤はスキンケア用品には使用しない
  • 配合量を制限する

…などの配慮がされています。

使用した後に肌トラブルを起こすようなことがなければ、そこまで神経質に考える必要はないでしょう。

今お使いのシャンプーやクレンジング剤などの化粧品にどんな界面活性剤が配合されているのか気になった方は、ぜひ見分け方を参考にチェックしてみてくださいね。
 

参考文献

  • 小西さやか著、日本化粧品検定協会監修(2016)『日本化粧品検定協会 一級対策テキスト』主婦の友社.
  • 久光一誠監修(2017)『化粧品成分表示のかんたん読み方手帳』永岡書店.
  • 日本界面活性剤工業会 http://www.jp-surfactant.jp/index.html